おじいちゃんと電気自動車 〜 音の回析 〜 | 聴覚にまつわる音のお話
<< ゲレンデの放送と町内放送と時間遅延 | main | 高山とイヤフォンの穴 >>

おじいちゃんと電気自動車 〜 音の回析 〜

今年は三菱自動車のi-MiEVや日産のリーフなど、一般向けに電気自動車の販売が開始され、新しい時代を予感させます。
ここで電気自動車に期待しているのがカーオーディオの環境改善です。

カーオーディオと言うと、大型のウーハーを沢山並べ、ドンドコと低音が車外にまで聞こえてくる光景を連想する方が多いと思います。しかし、そんな派手な方向ばかりでなく、ピュアオーディオという世界も存在し、そんな地味な方向性において期待しています。

自動車の画像

そもそもピュアオーディオには視聴環境が「静か」であることが、音質改善の一つの要素となります。この点においてエンジンやタイヤという騒音源を持つ自動車は、残念ながらピュアオーディオに向いていません。しかしこれが電気自動車になるとエンジンが無くなり、静かなモーターへと変わるので、音楽的な問題が一つ解決されます。


カーオーディオでもう一つ問題になるのが、レイアウトの制限です。スピーカーを設置できる場所と角度が制限されるので、スピーカーが本来の性能を発揮できないのです。
さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、そんな今回のお話はスピーカーに角度がある場合に生じる「音の回析」についてです。

音の回析というと難しく感じますが、ようは音が回り込む現象です。
音には周波数が低くなるほどに回り込み易くなる性質があり、逆に周波数が高くなるほどに直進するようになります。言葉で説明すると分かり難いので、次の動画を見てみてください。

(動画) スピーカーの角度と特性

この動画では、ホワイトノイズを出しながらスピーカーの向きを360°回転させ、その音声を周波数分析して見せています。スピーカーとカメラの距離は1.5m前後です。
周波数分析したグラフの変化から、スピーカーが正面を向いている時に対して、45°横を向いた場合には2k〜3kHzの音は10dB程度減衰し、10kHz近辺では15dB程度も減衰しています。

(画像) 正面(黒線)と斜め45°(赤線)の比較
正面と斜め45°を比較したグラフ

音声は回り込むので横や後ろを向いても音は聞こえますが、こもって聞こえるようになります。このようなセッティングのまま聞こえないからと音量を上げると、聞き取れるようになる前に、うるさい状態になってしまう事があります。

これは身近なところではテレビでも起きている現象です。テレビは映像が優先され、音質は後回しにされる商品特性を持ちます。(逆に音が良くても映像が悪いテレビでは意味が無いですから、しょうがないのですが)

もし、おじいちゃんや、おばあちゃんがテレビのボリュームをうるさいぐらいに大きくして聞いていたら、テレビのスピーカーがどこに付いているかを見てみて下さい。側面や背後にスピーカーが設置されている場合には、外付けのスピーカーを用意して、正面の方向に設置してあげるだけで、音声を聞き取り易くなります。

小型ブラウン管テレビの画像
(アドフォクスにあるブラウン管テレビのスピーカーは側面でも背後でもなく、底にありました)


おじいちゃん、おばあちゃんと言えば、小さい頃に「ちゃんと相手の方を向いて話しなさい」と叱られたことが無いでしょうか。
そっぽを向いて話しても、音は回り込むので相手には聞こえます。しかし聞き取り難い、くぐもった音質になります。
礼儀の点だけでなく、聞き取り易さの点からも、相手の方を向いて話すのが良いという事ですね。

そんな訳で、テレビや車のスピーカーがそっぽを向いていると、おじいちゃん、おばあちゃんから言われた言葉を思い出してしまいます。




集音器の無料試聴:アドフォクス
JUGEMテーマ:健康
 

at 11:29, adphox blog team,

-, trackbacks(0), - -

trackback
url:http://blog.adphox.com/trackback/22